建設リサイクル法
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
(平成12年5月31日法律第104号)
近年、廃棄物の発生量が増大し
廃棄物の最終処分場のひっ迫及び廃棄物の不適正処理等
廃棄物処理をめぐる問題が深刻化しています。
建設工事に伴って廃棄されるコンクリート塊、アスファルト
コンクリート塊、建設発生木材の建設廃棄物は
産業廃棄物全体の排出量及び最終処分量の約2割を占め
(平成13年度)、また不法投棄量の約6割を占めています。
さらに、昭和40年代の建築物が更新期を迎え
今後建設廃棄物の排出量の増大が予測されます。この解決策として
資源の有効な利用を確保する観点から、これらの廃棄物について
再資源化を行い、再び利用していくため
平成12年5月に建設リサイクル法が制定されました。
建設リサイクル法では、特定建設資材
(コンクリート(プレキャスト板等を含む。)、アスファルト
コンクリート、木材)を用いた建築物等に係る解体工事又は
その施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって
一定規模以上の建設工事(対象建設工事)について
その受注者等に対し
分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けています。
なお、分別解体等及び再資源化等の実施義務の対象となる
建設工事の規模に関する基準については
1)建築物の解体工事では床面積80m2以上
2)建築物の新築又は増築の工事では床面積500m2以上
3)建築物の修繕・模様替え等の工事では請負代金が1億円以上
4)建築物以外の工作物の解体工事又は新築工事等では
請負代金が500万円以上と定められています。
また、対象建設工事の実施に当たっては
工事着手の7日前までに発注者から都道府県知事に対して
分別解体等の計画等を届け出ることを義務付けたほか
対象建設工事の請負契約の締結に当たっては
解体工事に要する費用や再資源化等に要する費用を明記することを
義務付けるなどの手続関係も整備されました。
さらに適正な解体工事の実施を確保する観点から
解体工事業者の都道府県知事への登録制度が創設されました。
この他に、建設廃棄物のリサイクルを促進するため
主務大臣が基本方針を定めることが本法に規定されています。
これに基づき平成13年1月17日に基本方針が定められ
特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の
再資源化等の促進に当たっての基本理念、関係者の役割
基本的方向などを定めるとともに、特定建設資材廃棄物の
平成22年度の再資源化等率を95%としたり、国の直轄事業における
特定建設資材廃棄物の最終処分量を平成17年度までに
ゼロとするなどの目標を掲げています。
建設リサイクルの事前届出
建設リサイクル法は、建設工事で排出される廃棄物の再資源化
(リサイクル)の促進を目的とする法律で、建設廃棄物において
「廃棄物処理法」と並んで遵守が求められる重要な法律です
事前届出が必要な工事
建設リサイクル法により事前届出が必要になる
対象建設工事は以下の通りです。
対象建設工事
特定建設資材(a)を用いた建築物等の解体工事や新築
改修工事等で、規模の基準(b)以上のもの
(a)特定建設資材
以下の4つの資材を指します。
①コンクリート
②コンクリート及び鉄からなる建設資材 (プレキャスト鉄筋コンクリート等) ③木材 ④アスファルト・コンクリート |
(b)対象建設工事の規模の基準
特定建設資材のいずれかを使用している建築物に関する工事で
以下の基準に該当すれば
建設リサイクル法の対象建設工事になり事前の届け出が必要です。
工事の種類 | 規模の基準 |
---|---|
建築物の解体工事 | 床面積 80㎡以上 |
建築物の新築・増築工事 | 床面積 500㎡以上 |
建築物の修繕・模様替等工事 (リフォーム等) |
請負代金 1億円以上 |
建築物以外の工作物の工事
(土木工事等) |
請負代金 500万円以上 |
事前届出の流れ
①見積依頼
発注者は希望する工事内容の提示と見積依頼を
元請業者に対して行います。
②事前調査
元請業者は、契約前に対象建築物等についての調査を行い
その調査結果をもとに分別解体等の計画を書面で作成します。
調査では、作業場所や搬出経路、残存物品、付着物など
建築物だけでなくその周辺の状況も確認し
その内容を計画に盛り込みます。
③事前説明
元請業者は、作成した分別解体計画の
内容を発注者に説明します。
その際、説明した計画書は発注者に提出します。
④受領・確認
発注者は、元請業者が作成した書面を受け取り
分別解体等の計画の内容を確認します。
⑤請負契約の締結
④で受領した計画書な内容に問題がなく双方が合意すれば
発注者と元請業者の間で請負契約を締結します。
⑥事前届出
発注者は、着工日の7日前までに受領した分別解体等の計画と
あわせて届出書を作成し特定行政庁に提出します。
これにより届け出が完了します。
着工日は実際に工事を開始する日であり
除草などの準備工事は含まなくてよいことになっています。
⑦届出の告知
元請業者は下請け業者に工事を出す場合、発注者が行政庁に
届け出た内容を下請業者に告知しなければなりません。
告知を受けた下請け業者は届出内容に沿って
適切な施工を行わなければいけません。
⑧下請負契約の締結
告知内容に問題なく双方が合意すれば
元請業者と下請け業者の間で下請負契約を締結します。
以上が事前届出の一連の流れになります。
建設リサイクル法に基づく施策
1.廃棄物の分別・集積・運搬の促進
廃棄物の分別・集積・運搬の促進は、建設リサイクル法の
施策の一つであり、建築工事等において
発生する廃棄物を適切に処理するために行われます。
具体的には、以下のような取り組みが行われます。
①廃棄物の分別
建設現場で発生する廃棄物は、種類に応じて分別されます。
例えば、木材、コンクリート、金属
プラスチックなどに分けられます。
これにより、再生利用が可能な廃棄物を適切に管理し
再生利用を促進することができます。
②廃棄物の集積
分別された廃棄物は、適切な場所に集積されます。
建設現場内に廃棄物集積場が設置されることが一般的です。
集積場は、再生利用が可能な廃棄物と
そうでない廃棄物を別々に保管することができます。
③廃棄物の運搬
廃棄物は、適切な方法で運搬されます。建設現場内での運搬は
電動カートやトラックを使用することが一般的です。
また、建設現場から廃棄物処理施設への運搬は
廃棄物の種類や量に応じて
トラックや船舶などの適切な手段を使用して行われます。
これらの取り組みにより、廃棄物の分別・集積
運搬が適切に行われることで、再生利用が可能な廃棄物を
再生利用することができ、資源の有効活用につながります。
また、廃棄物の適切な処理が行われることで
環境への負荷を低減することができます。
2.再生資源の利用促進
再生資源の利用促進は
建設リサイクル法において重要な施策の一つです。
再生資源とは、再利用やリサイクルによって資源として
再生される廃棄物のことを指します。
以下に、再生資源の利用促進について詳しく説明します。
①再生資源の分別
再生資源は、建設現場で発生する廃棄物から分別されます。
木材、コンクリート、鉄鋼、プラスチックなど
種類に応じて分別され
再生利用が可能なものは再生資源として再生されます。
②再生資源の集積
再生資源は、適切な場所に集積されます。
再生利用が可能な再生資源とそうでない廃棄物を
別々に保管することができます。
③再生資源の再利用
再生資源は、再生利用されます。
例えば、コンクリート廃棄物は砕石として再生され
木材廃棄物はチップや
バイオマス燃料として再生されることがあります。
④再生資源のリサイクル
再生資源は、リサイクルによって再生されます。
例えば、プラスチック廃棄物は再生プラスチックとして再生され
金属廃棄物は再生鉄として再生されることがあります。
⑤再生資源の利用促進施策
再生資源の利用促進施策として、建設リサイクル法では
再生資源の利用割合の向上を目指して
再生資源の適切な処理を促進することが挙げられます。
例えば、再生資源の利用が進んでいない地域においては
利用促進のための啓発活動が行われたり
再生資源を使用した製品の調達を奨励する
制度が導入されたりすることがあります。
以上のように、再生資源の利用促進には、廃棄物の分別・集積
再生利用・リサイクルが含まれており、再生資源の利用が進むことで
資源の有効活用や環境負荷の低減につながります。
3.施工計画の策定・実施の促進
施工計画の策定・実施の促進は、建設現場における
廃棄物の適正処理のために重要な施策の一つです。
以下に、施工計画の策定・実施の促進について詳しく説明します。
①施工計画とは
施工計画とは、建設現場における工事の実施にあたって
安全・環境保全・資源の有効利用などを考慮した計画のことです。
施工計画には、工程表、作業内容、廃棄物の発生量や種類
廃棄物の処理方法などが含まれます。
②施工計画の策定
建設事業者は、施工計画を策定することが法律で
義務付けられています。
施工計画は、工事前に策定され
地方自治体に提出する必要があります。
施工計画には、廃棄物の適正処理のための
具体的な方針や手順が記載されることが求められています。
③施工計画の実施
施工計画は、実際の建設現場において
計画に基づいて適切に実施されることが重要です。
具体的には、廃棄物の分別や集積、処理方法の選定などが
適切に実施されるよう
施工管理者や作業員による監督や指導が必要です。
④施工計画の評価
施工計画の策定・実施の適正性については
地方自治体による監督・指導のほか、建設事業者自身による
自己点検や評価が必要です。
また、施工計画の策定・実施に関する状況は
地方自治体や環境省が定める報告義務に
基づいて報告されることもあります。
⑤施工計画の促進施策
施工計画の策定・実施の促進施策としては
建設現場における廃棄物の適正処理に関する啓発や
施工計画の策定・実施に関する指導・助言などが挙げられます。
また、施工計画に基づく廃棄物の適正処理を行う必要があります。
4.研究開発の促進
建設現場での廃棄物の再生利用技術の研究開発を促進することで
再生利用の促進に寄与します。
①資金の提供
政府や企業などから資金提供を受けて
リサイクル技術の研究開発を行うことができます。
また、研究開発を支援する団体や基金も存在します。
②農学連携
産業界と学術界が協力してリサイクル技術の
研究開発を進めることで
より実用的な技術の開発が可能になります。
③国際協力
国内だけでなく、海外の研究機関や企業と協力して
リサイクル技術の研究開発を行うことで
より広い視野での研究が可能になります。
④情報共有
リサイクル技術の研究成果や課題などを情報共有することで
研究開発の効率化が図られます。
また、研究成果を公表することで
他の研究者や企業がそれを活用することができます。
⑤教育・啓発
リサイクル技術の重要性や研究開発の進捗状況を広く
社会に伝えることで、より多くの人々がその重要性を理解し
支援するようになります。
これらの取り組みにより、リサイクル技術の研究開発が促進され
より高度な技術や新たなアプローチが
生まれることを期待されています。
5.環境への配慮の促進
環境への配慮を促進するためには、以下のような取り組みがあります。
①エコロジー教育の普及
教育機関や企業などで、環境問題やエコロジーについ
て学ぶ機会を設けることで、環境問題に関心を持つ人々が増え
環境への配慮が促進されます。
②環境負荷の削減
企業や個人が、自分たちが生み出す環境負荷を削減することで
環境への配慮が促進されます。
例えば、省エネルギーやリサイクルによる
資源の再利用などが挙げられます。
③環境に優しい製品の普及
エコマークなどの環境マークを取得した製品の普及を促すことで
消費者が環境に配慮した製品を選ぶようになります。
④持続可能な開発の推進
経済成長と環境保護を両立させる持続可能な開発を推進することで
社会全体が環境への配慮を意識するようになります。
⑤法律の整備と実施
環境に対する悪影響を与える行為を禁止する法律を整備し
その実施を厳格化することで、環境への配慮が促進されます。
これらの取り組みにより、環境への配慮が社会全体に広がり
持続可能な社会の実現につながることが期待されています。
廃棄物の適切な処理を行うことで
環境への負荷を低減することを目指します。
建設リサイクル法は、建設現場での廃棄物の再生利用を
促進することで、環境保全に貢献することを目的としています。
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